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1時間かかっていた査定が5分に。株式会社JUNIORが挑む、高級時計買取のAI変革

高級時計の売買は、時に数千万円、数億円という資産が動く真剣勝負の場です。しかし、その核心である「査定」は長らく、熟練バイヤーの経験則というブラックボックスに包まれてきました。株式会社JUNIORは、LAMPとBRAINを導入することで、業界慣習であった課題を解消し、劇的な変化を遂げました。1時間かかっていた査定を5分へ短縮し、属人化を排除した同社の戦略について、システム設計と現場の双方を統括するお二人に詳しくお話を伺いました。

株式会社JUNIOR

株式会社JUNIOR

時計事業部/部長 平井達也氏 福岡事業部/部長 辻野雄弥氏

1時間かかっていた査定が5分に。株式会社JUNIORが挑む、高級時計買取のAI変革

株式会社JUNIORについて

――はじめに貴社の事業内容と、お二人の役割について教えてください。

平井氏: 私たち株式会社JUNIORは、高級時計やブランドバッグなどの買取サービスをメインに展開しています。国内だけでなく、海外ディーラーへの卸や販売など、グローバルな販路を持っているのが強みです。

私は現在、システム設計や新規アライアンス戦略、20名規模のバイヤーチームの運営などを幅広く担当しています。

辻野氏: 私は、主に売買の価格を決めるなど、海外との取引含め「売り」と「買い」の両方に常に関わっています。

「情報の分断」が現場の足かせになっていた

――今回、イグネスのLAMPとBRAINを導入されたきっかけは何だったのでしょうか?

LAMP導入検討時の課題は、顧客管理の「分断」でした。弊社サービスでは、お客様からの査定のご依頼を基本的には公式LINEで受けています。一方で、お客様の情報や商品の情報はSalesforeで管理しているので、情報が分断されていました。これらの情報を一気通貫で管理したいという思いがありました。

当初は別のサービスも検討しましたが、不要な機能が多く、私たちの「現場の商売」に合わせたカスタマイズが難しいと感じていました。そんな折にLAMPのローンチを知り、LINE連携の利便性と必要な機能だけが備わっているLAMPの方が、今の事業に最適だと判断して導入を決めました。

――まずはLAMPから導入されたんですね。BRAINについてはどうでしたか?

近年、買取サービスが急増する中で自社を選んでいただくには、他社よりも「早く正確」に査定額を提示する必要があります。しかし、業界の慣習として「属人化」という大きな課題がありました。

熟練のバイヤーであれば、長年培ってきた経験によって早く査定をだすことができます。一方で、経験則による判断に頼ることで、査定金額の算出時の考慮漏れ発生や、査定ロジックそのものが人に依存していました。

こうした状況は、企業の持続性を損ないます。熟練バイヤーが辞めればその会社の査定力は落ちてしまい、組織は弱体化します。実際にそうして衰退していく他社を多く見てきました。だからこそ、創業当初から査定のロジックをシステム化し、新入社員を含め誰でも高い精度で査定できる仕組みを作り、いち早くお客様へ正確な査定をお伝えすることができる方法はないかと考えていました。そんな時にBRAINと出会い、導入を検討しました。

1時間が5分に。 2万件のデータをAIが解析するBRAINの査定革命

BRAINを操作している様子

――BRAINは、具体的にどのように利用されているのでしょうか。

まず、お客様から公式LINEを通じて査定したい時計の写真が届きます。その裏側では、2万件以上のレコードを持つ弊社独自のデータベースが動いています。このデータベースは、時計の査定には欠かせないリファレンスナンバーと、各要件によってどういった価格で査定をするかを独自に蓄積したデータベースです。

画像認識によってどのリファレンスナンバーが特定されると、その時計に関する自社の買取実績、年式ごとの相場、平均、標準偏差などの統計データが瞬時に呼び出されます。

この自社データに加えて、BRAINがECサイトの販売価格や、最新ニュース、さらに「為替」など、時価に影響する外部情報を網羅的に吸い上げます。

また、製品によっては国内に強い、海外に強いといった市場の特性があります。弊社は海外販売がメインのため、以前は国内市場の情報を見落とすリスクがありました。そういった普段見る頻度の低い領域の情報についてもBRAINに出してもらい、多角的な情報を確認できるようになったため、より精緻な査定が可能になりました。

――自社のデータベースと市況両方の側面から査定するための情報を集めてくれるんですね。

はい。これまではバイヤーがひとつひとつ調べて判断していたものを、BRAINが一瞬で代行してくれます。「自社データでは400万だが、今朝の為替変動と海外オークションの動向を鑑みると、現在は420万が妥当である」といった精緻な値を、Salesforceの画面上にパッと提示してくれるんです。以前なら1時間かかっていた作業がわずか5分。しかも、経験や感覚に頼らない「統計的裏付けのある正解」が導き出されます。

――現場のバイヤーさんの反応はいかがですか?

非常にポジティブです。精度も高く相場感の保たれている金額が出されていると感じています。特にまだ査定歴の浅いメンバーにとっては、数千万円の取引には「恐怖」が伴います。しかし、BRAINがダブルチェックの役割を果たすことで、自分の判断を補強するパートナーとして機能しています。結果、20名のバイヤー全員が、熟練度に関わらず査定精度を維持できる組織になりました。

「誠実さ」を貫くAI活用

LAMPを操作している様子

――顧客情報とLINEの一気通貫管理は実現しましたか?

はい。LAMPの導入により、Salesforceの画面上でお客様の情報を確認しながら、同一画面上のチャット画面でLINEのやり取りができるようになりました。パソコンでSalesforceを見ながら、手元ではスマホを操作して…というような、デバイスを行ったり来たりするような無駄な作業が一切なくなり、圧倒的な「作業効率の向上」を実現できています。

また、商品データベースともシームレスに繋がっています。届いた画像から型番を抽出し、管理までを一本化できる。このスピード感は、お客様をお待たせしないという「接客の質」にも直結しています。

――LAMPのエージェント機能はどのように使っていますか?

夜間の自動対応に活用しています。営業時間外にきた査定の依頼に対して、時計の写真から型番を特定し、その型番の商品で間違いないかを確認するメッセージを自動で返信します。これにより、翌日の営業時間にすぐに金額を調べてお客様に査定額をご返信することができています。

――あえて査定額の自動返信までは行わない理由があるのでしょうか。

技術的には可能です。例えば100円、200円の日常品の買取ならスピード解決が喜ばれるでしょう。しかし、私たちが扱うのは、お客様が大切にされてきた数百万、数千万、時には数億円の資産です。そのような重みのある品物に対して、人の判断を介さずにAIが機械的に算出した金額を返すのは、あまりに不誠実ではないかと私たちは考えました。

大切にしてきた時計を売るという決断に対し、最後は必ず人が向き合う。AIには査定金額算出に必要な情報を早く正確に揃えてもらい、その情報を元にバイヤーが責任を持って金額を判断し、お客様と言葉を交わす。この体制こそが、お客様が安心して私たちに資産を託せる理由になるのだと確信しています。

――今後LAMPで対応していきたいことはありますか?

過去、査定をご検討されたお客様に対してのフォローメッセージをLAMPで行っていきたいです。私たちは様々な背景のある時計の売買をします。例えば、数本ある内の1本の時計なのか、大切にされている1本の時計を売るのかによっても、お客様の想いは変わってきます。そうした状況に対しても、Salesforceと連携しているLAMPであれば、お客様の情報を元にメッセージを送ることができるので、ひとりひとりにパーソナライズされた内容をお送りできるのではないかと考えています。

Salesforceのデータを接客の武器に変える連携力

――「LAMP」「BRAIN」について、気に入っているポイントがあれば教えてください。

Salesforceの中に組み込まれていて、常に最新の情報を拾ってくれる点です。UIも直感的でわかりやすく、接客中でもスピード感を持ったお客様対応が実現できていると思っています。

また、導入後に現場メンバーへの展開が特に問題なくできた点ですね。エージェントの設定ができれば、現場もすぐに利用開始できます。

業界の未来を変える「ジュニアクラウド」構想

――今日話していただいた一連のシステムを、今後は外販していく構想もあると伺いました。

「ジュニアクラウド(仮)」として、私たちが構築してきたSalesforceのオブジェクト構成や、BRAINの査定ロジックを、業界に提供していきたいと考えています。

古物商業界ではDXが遅れており、査定の不透明さがお客様の不信感に繋がる場面もありました。お客様からの信頼を得るためにはデータの透明性が不可欠です。「このシステムを使えば、ブラックボックスがなくなる」と言われるような、業界のスタンダードを作っていきたいですね。クリアな取引を広めることが、古物商業界全体の社会的地位の向上にも繋がると信じています。

LAMP・BRAINで、人とAIが協働してお客様との関係性を築きあげる

――最後に、導入を検討している企業へ一言お願いします。

どの業界も公式LINEでお客様からの問い合わせや依頼を受けることが当たり前になっていると思います。もし管理が「LINEのやりとりはLINE、顧客管理はSalesforce」と分断されているなら、今すぐLAMPを入れるべきです。Salesforce上でお客様とのLINEでのやりとりを確認できることで作業効率が上がるのはもちろん、Salesforceのオブジェクトを改修するたびに、それがそのまま公式LINEでの接客のパワーに直結します。

そしてBRAIN。AIを単なるツールではなく、自社の独自資産を最大限活かし、人がお客様と向き合うための「余裕」を生み出すパートナーとして活用してみてください。ビジネスの景色、そしてお客様との関係性が、より豊かに一変するはずです。

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※2026年3月時点での取材記事です。

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