
リピート促進や新規集客を支援する複数のSaaSプロダクトを展開する株式会社DMM Boost。かつては問い合わせ管理ツールと顧客管理システムが分断され、大量の問い合わせをすべて有人で対応する運用を続けていました。Igness LAMP導入によってSalesforceとの一元管理を実現し、AIと有人対応を組み合わせたハイブリッド設計へ移行。BPOチームからのエスカレーション率を半減するなど、CSチームとBPO双方の運用にもたらした変化について、株式会社DMM Boostの淺川氏と杉崎氏に伺いました。
ポイント
- —顧客情報の分断を解消し、問い合わせデータと顧客情報を一元管理
- —AI・有人対応を切り分け、エスカレーション率を最大50%改善
- —AIエージェントの評価から生まれたナレッジ改善の仕組み
株式会社DMM Boostについて

まずは貴社の事業内容について教えてください。
淺川氏: 弊社は主に3つのSaaSプロダクトを展開しています。1つがLINEによる顧客とのコミュニケーションを効率化し、リピート促進の効果を最大化していく「DMMチャットブースト」。新規集客とブランディングに貢献するMEO対策サービス「DMMジオブースト」、インフルエンサーとのマッチングを通じて効果的な集客支援をする「STAR BOOST(スターブースト)」の3つを提供しています。
お二人は普段、どのような役割を担っていますか?
淺川氏: 私は経営企画室というポジションで、全体のKPI管理や中長期的な戦略策定を担当しています。
杉崎氏: 私はCS領域のオペレーション改善や見える化を担当していて、あわせて社外で問い合わせ対応を担っていただいているBPOチームとの連携部門の責任者も務めています。
情報の分断と定型対応に課題を感じていた
Igness LAMP導入前はどのような課題がありましたか?
淺川氏: Igness LAMPの導入前、DMM Boostが抱えていた課題は大きく2つありました。1つは、問い合わせ管理ツールとSalesforceの情報が連携されていないこと。もう1つは、定型的な問い合わせも含めてすべてを人手で対応していたことです。土日を含め大量の問い合わせをする環境が続いていました。
問い合わせのメインチャネルはLINEで、顧客管理には当時からSalesforceを使っていました。しかし、Salesforce側の顧客情報とは連携ができなかったため、問い合わせ管理ツール側では顧客の詳細情報を確認できない状態でした。そのため、問い合わせが来るたびにSalesforceを開いて確認・照合してから対応する、という一手間が必ず発生する。ツールが連携されていない分、その都度この検索と照合が挟まることが、大きな工数になっていました。
また、誰が答えても同じ回答になるような定型的な問い合わせもすべて人が対応していたことにより、回答するのに時間がかかってしまいお客様をお待たせしてしまっていました。
テンプレートを使って対応自体はある程度効率化していましたが、それでもすべて人の手を介する以上、対応にはどうしても時間がかかってしまいます。人の手を介さなくても、その場でスムーズにお答えできる仕組みを作れないか、という問題意識がずっとありました。
Igness LAMP導入の決め手になったポイントはどこでしたか?
淺川氏: 転機になったのは、全社的なコスト最適化の方針でした。ツール費用の削減というミッションが与えられ、いろいろなツールを比較検討する中で3つの条件を立てました。1つ目はツール費用の削減が達成できること。2つ目はSalesforceとの顧客情報の一元管理の土台を整えられること。3つ目は、蓄積した情報の分析までワンストップでできることです。この3条件にぴったりはまったのがIgness LAMPでした。
特に、分析のニーズには具体的な狙いがありました。これまでは顧客管理データと問い合わせデータが分断されていて、そもそも分析自体ができない状態でした。この状態を解消することで、業種ごとや契約期間ごとに問い合わせの数や種別がどう変遷するのかを見て、問い合わせ対応の改善に役立てることができないかと考えていました。
AI・有人・ルールベースでの対応に切り分ける問い合わせ導線設計

Igness LAMP導入後は、どのように運用を設計しましたか?
杉崎氏: Igness LAMP導入後は、まず問い合わせ対応をAI・有人・ルールベースの対応の3つに切り分ける設計に取り組みました。定型的で個別判断が少ないものはAIで対応する。個別調査や感情面のフォローが必要なものは有人対応にする。お客様がやりたいことや必要な手続きがすでに明確なものについてはフォームを用意し、そこから直接お申し込みいただく導線にしています。
設計で意識したのは、まずお客様に気軽にAIでの問い合わせを試していただける導線を作ることでした。有人対応の窓口をすぐに案内すると、判断に迷った時につい安全策として有人対応を選びがちで、AIならではの「その場ですぐに回答できる」という強みを十分に活かせません。そこで、まずはAIでスムーズに解決できる設計を優先しつつ、必要なときにはいつでも有人対応へスムーズに切り替えられるようにする、というバランスを意識して設計しました。
有人対応への切り替えも、あらかじめ設定したフローに沿って自然に行われる仕組みになるよう設計しました。お客様が気づかないうちにスムーズに有人対応へ移っている場合もありますし、オペレーターが必要だと判断したタイミングで先回りして切り替えることもあります。ケース画面上では、「AI対応中」というステータスを確認できるようになっており、AIが今どんな問い合わせに対応しているかをリアルタイムに管理できる状態になっています。
AIに問い合わせ対応を任せ、オペレーターはより複雑な案件に専念
導入以前にあった課題は、どのように変わりましたか?
杉崎氏: Igness LAMP導入後は、SalesforceとLINEでの問い合わせ内容がひとつのプラットフォーム上で紐づくようになり、対応のたびに契約情報を開いて照合する作業自体がなくなりました。お客様がどなたかを確認する手間がなくなった分、対応そのものにすぐ着手できるようになっています。
また、定型的な問い合わせの多くをAIが担うようになったことで、一次対応で有人対応が必要な問い合わせは導入前と比較して半分ほどの件数に減っています。オペレーターは個別調査や感情面のフォローが必要な、複雑な案件に集中できるようになったのも大きなメリットと感じています。
さらに、現場の担当者からも高評価を得ています。CSチーム側で「どの作業に専念すべきか」が明確になったことで、管理者からは運用しやすくなった、マネジメントしやすくなったという声が上がっています。お客様からのお問い合わせに対しても、対応のリードタイムを短縮させることができたので、すぐに対応できるようになっている実感があります。
エスカレーション率が半減。BPOにも波及した効果

導入後、何か数字的な変化はありましたか?
杉崎氏: 数値としてもっとも明確に表れているのが、問い合わせ対応を依頼しているBPOチームからのエスカレーション率です。6月ごろに設定したフローが定着してからは、エスカレーション率がプロダクトによって当初より50%改善したものもありますし、少ないところでも30%改善したプロダクトが出てきています。対応時間が減れば、BPOチームにかかるコストもその分改善されていきます。
対応品質のばらつきも、目に見えて解消されました。オペレーターにはマニュアルやFAQを共有していますが、有人対応だとどうしても個人のスキル差で回答内容にズレが出ます。AIが回答する部分は均質的な答えが返せるので、お客様から「前回聞いた内容と違う」と言われることがほとんどなくなりました。
「AIが対応できない=FAQが存在しない」という気づき

他にも、導入後に変化した点はありますか?
杉崎氏: CSチーム運営そのものへの気づきも生まれました。元々あったFAQをナレッジとしてAIに追加しているのですが、有人対応をしていた頃はどのFAQが不足しているかが可視化しづらかったんです。導入後、AIが対応できない問い合わせは「そもそもFAQとして存在していない」ということに気づけるようになり、お客様向けのご利用ガイドの拡充にもつなげることができました。
淺川氏: 会話ログを振り分けて分析するダッシュボードを現在作っています。有人が答えた件数や割合、そのうち改善できそうな部分がどれくらいあるかをカテゴリー別に出すことで、ボトルネックを特定しやすくし、オペレーション改善の議論の起点になるダッシュボードにしていきたいと考えています。

AI導入成功の鍵は、目標設定をしてフィードバックサイクルを回し続けること

同じように問い合わせ対応に課題をお持ちの企業様へ、メッセージをお願いします。
淺川氏: AIやツールを使うことはあくまで手段です。何のために、何を達成したいのかを明確にして目標設定をした上で進めることが大事だと思います。導入後も、AIがどこまで対応できるのかを分析やお客様の声を通じて検証し続け、フィードバックサイクルを回し続ける姿勢を持っていく必要があると思います。Igness LAMPは、それを実現するための機能や土台がしっかり揃っているツールだと感じています。ぜひ現場でどんどん活用して、価値を積み上げていっていただきたいですね。
杉崎氏: やりたいことを明確にして、理想形を社内でまず設定することが大切だと思います。最初から完璧を目指す必要はありません。簡単なところからスタートして小さな成功体験を積み重ねていけば、AIの対応範囲は自然と広がっていきますし、現場も自信を持って前に進められるようになると、実際に導入してみて感じています。
※本記事は2026年9月時点での取材内容をもとに構成しています。
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